Gallery 陶迷庵  Gallery 陶迷庵 − 私のお気に入り

逸品、珍品、掘り出し物など画像をコメントと共に掲載させていただくコーナーです。ご自分が愛しみ、大切に思っているアンティークなら何でもOK!投稿お待ちしています。感想も、掲示板にどんどん書き込んでくださいね。

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オールド香蘭社 置物(スプーンウォーマー) From KEI様 11/14/24

     

ネットオークションで落としたオールド香蘭社の釉下彩の置物です。
グレー、青、ピンクの使い方が美しく、また造形もご覧の通り面白いですが、しっかりとできています。
横(およそ)10cmX15cm 高さは一番高い所で8cmです。

特筆すべきはこれが何か香蘭社に問い合わせたところ、香蘭社でもわからず、佐賀県立九州陶磁美術館の館長、鈴田氏に問い合わせてくださり、鈴田氏も分からず、鈴田氏の英国の友人に聞き、スプーンウォーマーでよろしいでしょうとの回答を下さりました。
見知らぬ人物からの質問にそこまでお調べ下さった香蘭社の方の誠意とご好意に感激いたしました。
どうもスプーンウォーマーというのはあまり知られていないようです。
マーティンブラザースのコレクターには馴染みのものですが・・・。


A Possibly Vinovo Figurine & Pair of Haag Plates From kazu様 08/25/24

   

       

上:四季のシリーズ「冬」のフィギュア Possibly Vinovo (circa 1816-1820 ? )
  高さ:12cm 磁質:Hard paste 窯印:V over ? in underglazed blue
台座にバストを載せたフィギュアです。頭からヴェイルを被った髭を蓄えた男性、前には炎を上げた松明が象られています。この作品は18世紀半ばのマイセンの四季のシリーズ、「冬」のフィギュアを模したモノと考えられます。
実は19世紀のドイツの窯のものとして販売されていましたが、台座の裏に刻印と、台座の側面、背後の端に釉下の青でバーの上にVの字が入れられています。
Vの窯印と言えば、イタリアのヴェネツィアのヴェッツィ窯や、ヘヴェルケ窯、トリノのヴィノーヴォ窯、パリ窯でも見られますが、比較的多くはありません。台座の背面に窯印が入る事もありますが、多くの窯では、窯印は背面中央に入れています。
ところがこの作品では、左端に小さく入れられています。
この様な窯印の入れ方は、ヴィノーヴォ窯の一部でも認められます。またこの台座の様な大理石を模した様なパープルの装飾が、この窯の作品にもまた認められます。
台座の裏側には、刻印が入れられていますが、恐らく後で付けられたネジの為に途切れています。
色使いや作風から、19世紀の作品と考えられ、刻印がLであれば、ヴィノーヴォ窯の、ジオヴァンニ・ロメッロ期の作品ではないかと推察されます。

下:風俗画を描いたペアのディナープレート A pair of Haag plates decorated on Tournay plates Around 1780
 直径:22cm  高さ:3cm  磁質:Soft paste
 窯印:Stork holding an eel with beak in blue enamel, Incised letter large G
マイセンのNeu-brandenstein patternを模した器形のペアのお皿に、独特の辺縁装飾を施し、中央にはピュースで女性と、男性がそれぞれ描かれています。
これらのお皿は、ベルギー(当時はオーストリア領ネーデルランド)のトゥルネイ窯の軟質磁器にオランダのハーグ窯(実際はデコレイター)で装飾された作品と思われます。
オランダと言えば17世紀のバロックの時代から風俗画が盛んに描かれ、この作品も手慣れた筆致で描かれていますが、女性の方は「メリー・ポピンズ」かモネの「日傘を差す女」の様な明るい絵で、男性の方は動きがあり、まるで手塚治虫の様な筆致で描かれています。 周囲の装飾も、金彩の質は決して高くありませんが、ボウルドでヴィヴィッドな色彩で手堅く花綱が描かれています。
果たしてこの時代にこの様な絵が描けたのだろうか?
ハーグの時代とは、フランス革命戦争やナポレオン戦争を前にした時代で、スペインのゴヤの初期の時代にも当たり、この絵皿は彼の作品に出てくる様な、女性のマハや、男性のマホの様に、オランダの富裕層の男女を描いたモノなのかも知れません。
オランダは貴族の市場が中心の他国と違い、富裕商人の顧客相手で、この様な風俗画が多くなる傾向にあるとも考えられる。


A Royal Worcester Desert Dish & 6 Silver Demitasse Spoons, A Royal Worcester Plate & 蝶のショール留め, Royal Worcester demitasse set From Mie様 03/25/24

   

 

上:スプーン シルバー925 インポートマーク?
 デザートディッシュ Royal Worcester 縁のブルー部分はshot enamelの技法による装飾、1895年製
 帯の文字 "worcester shot enamels ENGLAND" 1895年

中:近年どっぷり沼にはまっている昭和ジュエリーをロイヤルウースター1906年セーブルスタイルのお皿に並べてみました。
 蝶々はバネ式のクリップのようになっています。素材はK18とプラチナです。

下:1929年、Royal Worcester demitasse set の写真です。
 このセットのスプーンはLondon 1908-1909年 sterling
 Maker: Mappin&Webbです。
 蝶々のエナメルスプーンは、Londonのオメガ印のImport Markで、date letterは fで1921-1922年だと分かりました。


A Possibly KPM Berlin figure & A Possibly Meissen Spice Box From kazu様 03/25/24

   

       

上:A Possibly KPM Berlin Figure (A sleeping naked child)
 18世紀頃 窯印無し
 長さ:14.3cm 高さ:7.0cm
 参考文献:Die Berliner Porzellanplastik und ihre skulpturale Dimension 1751-1825. p161-162

シンプルな長方形の台座の上にゆったりと横たわる裸の子供。ドレープが腕に絡み、とても優雅に見えます。
この作品は無釉白磁で、焼きムラや、角のクラックもありますが、それでも彫刻の素晴らしさは際立っています。
この作品は、フランドルのブリュッセル出身のバロック彫刻家、フランソワ・デュケノアの作品を写したモノです。
彼の父は、宮廷彫刻家で、ブリュッセルの小便小僧を制作した人です。1618年から彼はローマで活動し、あのベルニーニと共同で作品を制作しています。
この作品はノーマークですが、恐らくKPMベアリン窯で写したモノと考えられます。台座を金彩で覆ってはいますが、この窯の同じモノが、ヴァイマールの美術館(Classik Stiftung Weimal)に所蔵されており、一方デュケノアのオリジナルで、これとほぼ同じ 型のブロンズ像が、ヴィーン美術史美術館に所蔵されています。

下:Possibly Meissen Spice Box (A lid is absent) Kakiemon decoration
 窯印:A crossed swords in underglazed blue, incised former's mark which is similar to one of Bow's marks.
 長さx幅:15.0×10.0cm. 高さ:4.0cm

この容器は残念ながら蓋が欠損していますが、マイセン窯のスパイスボックス、香辛料入れと思われます。
16世紀の大航海時代、スペイン、ポルトガルが独占してアジアから運んだ香辛料も、海のシルクロードや陸路からの貿易が増えて、需給バランスが変わり、18世紀前半には値崩れしていました。
変わってアメリカ大陸からの砂糖が高級品として取り引きされた為に、マイセン窯が磁器を焼き出した18世紀初頭には、香辛料の需要は低下しており、実際今日では、多くの磁器窯では、香辛料入れはなかなか見つけられず、代わって高級な砂糖を入れる、砂糖入れが盛んに制作されています。
しかしこの作品は、金彩はベタ塗りだが良い金が使われている事、全体に乱雑な柿右衛門 装飾や、把手の造りの不完全さ、双剣マークの反りが逆になっていたり、イギリスのBow窯の初期に使われた刻印が入っていたり、謎の部分が非常に多く、他の窯の可能性が高い様に思われました。
18世紀の前半、1730年頃のロンドンのイーストエンドでは、磁器の研究が盛んに行われており、アイルランドの彫刻家のトーマス・フライ(Thomas Frye)と、ブリストルの服飾職人のエドワード・ヘイリン(Edward Heylyn)が立ち上げたBow窯も、実験的な磁器の制作を続けていました。
1744年、彼らは最初の特許を申請しますが、それはアメリカ、ノースカロライナ州から輸入された、チェロキークレイ(Cherokeeclay)で制作された硬質磁器で、マイセン磁器に引けを取らないモノでした。1748年から生産され、今ではAの窯印から、A-marked group と呼ばれています。
しかし彼らは、1749年に別の特許を申請します。それはヴァージンアース(Vergin earth)と呼ばれる骨灰を混合した軟質磁器でした。イーストエンドでは家畜の屠殺場が多く、容易に骨灰を得る事ができ、骨灰を入れる事で、より白くなり、耐久性も可塑性も向上しました。
結局後者が主要製品になりますが、前者は供給源の不安定化(この後独立戦争に突入)などの問題が生じて、生産が中止されたと考えられます。
この作品では特異なBow窯の刻印が入ってはいますが、素地などの違いにより同窯の作品とは考えにくいと思われます。


Two Silver Dessert Spoons, A Silver Spoon & A Silver Dessert Spoon From kazu様 02/19/24

     

     

           

Two dessert spoons
 J.Granvigne Late 19th century. Paris
 Maker’s mark. Hallmark: Boar. Silver Gilt
 Length:13.5cm

A spoon
 E.Puiforcat. Late 19th century. Paris
 Maker’s mark. Hallmark: Minerva 1 Silver Gilt
 Length:11.5cm

A dessert spoon
 E.puiforcat. Late 19th century. Paris
 Maker’s mark. Hallmark: Minerva 1 Silver Gilt
 Length:12.0cm


Royal Worcester Demitasse Set, A Silver Coin Purse, A Silver Beaker & A Silver Loupe From Mie様 02/16/24

 

Royal Worcester cup&saucer 1904年
カップとソーサーの裏に蝶々の名前が手書きされています。
ソーサー左上から下
 Camberwell Beauty
 Peacock
 TorToireshell
ソーサー右上から下
 Red Admiral
 Orange Tip
 White Admiral

コインパース、ビーカー、ルーペには猪の刻印が入っています。
 鎖編みのコインパース 縦:9cm 横:6cm
 ビーカー 高さ:6.6cm 直径:6.3cm
 ルーペ 縦:13cm 横:5cm


 

3 Silver Spoons (Center: A Mixed Metal Gorham Spoon) From 桃花里様 01/20/24

   

三本写っている物の真ん中がミックスメタルのスプーンです。
中央スプーン年代:不詳
中央スプーンのメーカー:Gorham サイズ:15-16cm


 

2 French Silver Serving Spoons & A Royal Crown Derby plate From Mie様 01/17/24

       

スプーンのメーカー:2本とも Alphonse Debain
プレートの年代:1886年


A Chelsea-Derby Ice Pail From risuko様 01/16/24

 

年代:1777-1784年
高さ:H25cm


French Silver Ice Cream Serving Set From 桃花里様 01/16/24

 

フランス 950銀
工房:Alphonse Debain
年代:1883年〜1911年
サイズ:スプーン 長さ22cm, サーバー 長さ25cm


Puiforcat Silver Ice Cream Service Set From kazu様 01/16/24

         

Ice cream server
年代と場所:1850-1899 Paris
メーカー:Emile Puiforcat
Art nouveau or Japonisme design
Slice knife Length. 29.0cm Weight 118 grams
Serving spoon Length. 23.2 cm Weight 71 grams
Maker’s mark and hall mark (Boar mark)


5 Silver Fish slices, 2 Silver Trowels, A Silver Pie&Cake Server From 桃花里様 01/14/24

     

フィッシュスライス5本の写真
向かって左からロンドン1765年、ロンドン1771年、ロンドン1778年、ロンドン1782年、ロンドン1794年
フィッシュスライスのヘラ部分5枚の写真

Trowel 上のアイボリーハンドル:シェフィールド1903年、下の黒檀ハンドル:バーミンガム1950年

パイ、ケーキサーバー:ロンドン1870年


A French Silver Server From risuko様 01/11/24

     

フランス銀器 ニワトリに数字の2の刻印(1809-1819)
菱型にBとCとJかIの工房イニシャル=菱型はシルバープレートでなくシルバー製品


Royal Worcester 3 Loving Cups & Dessert Knife Set, Fernch Silver Dessert Set & Tea Set From Mie様 01/06/24

   

カップ&ナイフ 年代:early 1900s


French Silver Cutlery and A Meissen Dish From risuko様 01/04/24

       

     

19世紀後半〜20世紀前半 フランス銀器
純銀素材に一部純金処理


A Samuel Alcock Vase, Two Samuel Alcock plates From kazu様 12/06/23

   

         

A Samuel Alcock swan? shaped vase
  高さ:15.5cm  1836年 Pattern number:6514

Two Samuel Alcock plates
  直径:23.0cm  1855年
  Bird one:Pattern number 3/7188
  Both plate with Patent Office Registration Mark
  Both registered on the 6th January in 1855, Parcel number 4

サミュエル・アルコック(Samuel Alcock)窯

サミュエル・アルコックはスタッフォードシャー州キングスリー(Kingsley)の農家の家に生まれました。最初はハンリー(Hanley)のマーケットスクエアで、食料品店、紅茶のディーラーなどをしていましたが、多くの陶器工場の集うこの地域で陶器事業に参入するまで時間はかかりませんでした。

1822年にスタッフォードシャー州のコブリッジ(Cobridge)のラルフ・スティーブンソン(Ralph Stevenson)と共同で陶器の製造事業に参入しました。
そして1828年にバースレム(Burslem)の丘の上にも製造工場を建設し、Samuel Alcock & co.として操業し、スティーブンソンが工場を去り、キーリング(Keeling)が新しいパートナーとなりました。バースレムのこの工場はHill Potteryとも呼ばれています。
その後更に1830年代までには従業員600人を雇用し、1839年にも大規模な工場を建設して事業を拡大しました。
しかしサミュエルは 1848年 11月10日に亡くなり、その後会社は妻のエリザベスと2人の息子によって経営され、1859年に倒産し工場を閉鎖しました。

作品はロココ・リヴァイヴァル様式で、陶器と共にボーンチャイナも生産していました。主に新興中流階級や、アメリカにも輸出していました。
閉鎖後のバースレムの工場は、1861年にサー・ジェイムス・デューク&ネフュー(Sir James Duke & Nephews)が買い取ってしばらく操業し、その後もHill pottery & co.、E.F. Bodley更にE.J.D.Bodleyと引き継がれますが、アルコックの分数番号システムもこれらの窯に引き継がれています。


A Royal Worcester Vase From Mie様 09/02/23

 

Crownware small vase 1925年


Four Wedgwood Lustre Pieces From Mie様 08/29/23

         

       

左上:Fairylandlustre bowl : Ship and Mermaid
右上:Fairylandlustre Lily Tray : Woodland Elves III
左下:Ordinarylustre bowl decorated with Daventry design
右下:Ordinarylustre Scalloped bowl decorated with lustre and butterflis


A Noritake Bone China Figurine From risuko様 08/20/23

     

サイズ:33cm×36cm
裏印:多色カップ印(1946年〜)

浜辺で遊ぶ美しい乙女エウロペに一目ぼれしたゼウス神が、白い牡牛に変身し誘拐するギリシャ神話を題材にしています。
ノリタケのボーンチャイナは柔らかく温もりを感じさせる乳白色が特徴で暖色の間接照明の光にとても美しく映えます。


Tiffany Favrile Art Glasses From risuko様 08/11/23

       

ガラス作家のルイス・C・ティファニー(1848−1933)によるラスター彩を使用したファブリルガラスです。
1890年代から1910年代にかけてのティファニーの人気はアメリカでは、ニューヨーク5番街の父のティファニー商会(宝石商)の世界的名声と共に、飛ぶ鳥を落とす勢いでアールヌーヴォー様式が退潮した後もティファニーの活動は続けられて1933年ティファニーの死後もティファニースタジオが閉鎖された1938年までティファニー作品は生産されていました。


A Minton Plate From kazu様 02/05/23

   

   

A Minton Plate
  直径:23cm
  窯印:Minton factory mark with a crown year mark for 1860(imprint)

中央には、海底に沈むオウム貝や海草と、その前に置かれた、クレストが描かれたミントンブルーの盾。
周辺部には、金で描かれた網の目の向こうで、金魚が悠々と泳いでいる。
水草も描かれ、海水ではなく淡水の水槽の中を描いている様に見える。
裏面には上手のモノに使われるミントン社の王冠のマークがプリントされている。

水槽(Aquarium)で魚が飼われた歴史は古く、エジプト時代に遡るが、食用の魚の保存が目的だった。観賞用の金魚が飼われたのは960年の中国が最初で、日本では1616年に金魚が渡来した。ヨーロッパでは1780年のオランダが最初で、1850年にはアメリカにまで拡がっている。
イギリスでは1830年代に園芸用に開発されたテラリウム(terrarium)の枠付きのガラスケースが、アクアリウムとして応用された。
特に1851年のロンドン万博で鉄枠のガラスで覆われたアクアリウムが展示され、これを契機にイギリスでは富裕層でアクアリウムが大流行する。

この作品は、そういう流行期に制作されたモノという事が推察されるが、中央の装飾は、海底を表現したモノと思われ、こういうオウム貝などの装飾は、Worcesterなどのイギリス磁器窯で18世紀初頭より流行した装飾の流れを汲むモノと考えられる。
クレストの金彩は周辺部の金彩は質的に異なり、regildingが疑われる。


A Minton Trio and a Slop Bowl From kazu様 01/11/23

   

 カップ高さ:5cm、ソーサー直径:13.7cm、ケーキプレート直径:17.4cm
  窯印:Impressed 'MINTONS’ and a year cypher for 1879, Pattern number G2771 (1877-1878)
 スロップボウル直径:15.24cm
  窯印:Pattern number G2771 (1877-1878)

パリフルートのトリオとスロップボウル。シンプルな金彩に、蝶が描かれている。花散らし紋ならぬ、蝶散らし紋とでも言いましょうか。
残念ながらイギリスのディーラーから購入したスロップボウルはクラックがあります。一方日本のディーラーから購入したトリオは完品でした。
どちらも同じ時期に市場に現れましたから、おそらく同じ出所ではないかと考えています。
MINTONの刻印は1860年から1873年まで使用され、1873年以降MINTONSになります。
イアーマークは1879年ですが、型番はG2771で、1877年から1878年の間に出来た型で、このトリオ自体は1879年製になります。
Gで始まる型番は上手のモノで、スロップボウルのマークは型番と意味不明の四つの点のみです。


A Minton Plate From kazu様 12/25/22

     

   

A creamer (possibly Minton)
  直径:24.5cm
  窯印:Retailer mark: Pellatt & Wood (Baker Street, London)
     Year mark for 1872(imprint) behind the retailer mark G1285 S (1873-1875)

ブルーのグラウンドカラー、周辺には高品質の金彩に飾られた三つの花絵のカルトゥーシュ。中央には2人の天使が薔薇で飾られた二つのモノグラムを掲げ、その上には馬のエンブレムが描かれている。
フレンチシェイプに高品質の金彩、セーヴル窯のブリュ・セレストの様な地色、1874年、ヴィクトリア女王の次男のエジンバラ公・王子アルフレッドと、ロシア・アレキサンダー2世の娘の結婚を記念して制作されたデザートプレートを彷彿とさせるこの作品は、恐らくミントン窯が制作し、ロンドン・ベイカーストリートの販売店、ペラット・アンド・ウッド(Pellatt &Wood)社が販売したモノと考えられる。
恐らく何れかのセレブリティーの結婚を記念して制作されたモノではないだろうか。

Gで始まるパターンナンバーは、豪華な金彩や、上手の絵付けの作品に付けられる。
プレート裏の中央には、販売店のスタンプが押されているが、ミントン社のイアー・マークは、そのスタンプに隠されている。ここでも、磁器メーカーに対して販売店が強い力を持っている事が分かる。
この作品の絵付師としては、普仏戦争でセーヴル窯から1872年にミントン窯へ移籍した、Antonin Boullemier(Active1872-1900)が有力な候補に挙げられる。


A Creamer From kazu様 12/10/22

     

 

A creamer (possibly Minton)
  高さ:7cm
  窯印:なし A sticker of Thomas Goode Co. inside.(international exhibition 1871)

右側面には気品の漂う女性の肖像画。ビジューの騙し絵のボーダー装飾。
左側面には、花綱で飾られた王冠にアルファベットのA。
更にシェイプは典型的なロココ・ダブルスクロールハンドルに、膨よかなボディーを支える三つの足と、まるで18世紀のロココセーヴル磁器の様なクリーマーだが、窯印などは一切ない。
内側にステッカーが一枚、International Exhibition of 1871, T. Goode Co. 7 とある。

実はこのクリーマーは、ヴィクトリア女王の4女で、芸術の才能に恵まれたルイーズ(Louise)王女の結婚を記念して制作されたティーセットの一部である。
このクリーマーの他にティーポット、シュガー、ティーカップが別々に売られていた。
ティーポットには花嫁のルイーズ王女が、結婚相手の花婿である後のスコットランド第9代アーガイル公・ジョン キャンベル(John Campbell, 9th Duke of Argyll)、当時のローン侯爵ジョン(John,Marquess of Lorne)と共に描かれている。二人は1871年にウィンザー城で挙式した。更にシュガーには長女のヴィクトリア王女、ティーカップには3女のヘレナ王女が描かれていた。

ステッカーのトーマス・グッドは、1827年創業の販売店で、1863年からRoyal warrant(王室御用達)を獲得しており、主にガラス・磁器製品を王室に納めていた。
また国際展示会は、1851年、1862年とロンドン万博、更にもう少し小規模の国際展示会がロンドンで1871年から1874年まで毎年開催されていた。
このクリーマーの女性は、次女のアリス(Alice)王女で、この時既に後のドイツ・ヘッセン大公ルイ(Louis IV, Grand Duke of Hesse)と1862年に結婚していた。
アリスの結婚は、1861年に父のアルバート公が亡くなった翌年で、結婚式もひっそりと執り行われた。その後の彼女の生活も過酷で、貧困や家庭内の確執に苦しみ、1866年に始まる普墺戦争では、プロイセンに嫁いだ長女ヴィクトリア(Victoria)と敵どうしと成り、関係が悪化、更に負傷者の溢れ返る首都ダルムシュタットで、ナイチンゲールを友人に持つ彼女は、彼女を通じてイギリスからの寄付を集めたり、彼女の助言を受けながら野戦病院を整備し、献身的に働いた。
その後1877年に夫が即位すると、1878年にはヘッセン宮殿内でジフテリアが流行し、次々と子供達が発病し、家族の看護に奔走した末に自分自身も感染して35歳で亡くなった。
このクリーマーの肖像画は、彼女の強い意志と優しさが、その表情から感じられる。

結局このティーセットは、ロンドンの国際展示会に出品されたものではないかと考えられるが、では制作したメーカーは何処か?
19世紀に入ってセーヴル窯の芸術部門の総監督になったアレキサンドル・ブロンニャール(Alexandre Brongniart)は、マイセン窯やヴィーン窯とも交流しており、セーヴルの18世紀のプラスター型(Plaster cast)をミントン窯に大量に譲渡している。
またトーマス・グッド社は、数多くのミントン磁器を扱い、ミントンの窯印にはグッド社と連名のモノもあり、1845年にロンドンのメイフェア、サウス・オウドリー・ストリートに開いたグッド社の販売店は Mintons’ London showroom とまで言われていた。
ミントンのRoyal familyへの影響力にも、この会社が深く関わっていた。
19世紀前半では、磁器メーカーに対してロンドンの販売店は圧倒的に力が強く、ロンドンに販売店を持たないミントンもそうであった。販売店は、消費者が販売店を介さずにメーカーから購入する事を嫌って、メーカー名の窯印は中々入れる事を許さなかった。
1830年代から40年代のミントン磁器の数%にしかメーカー名が見られないとGodden 氏が著書の中で言われている。


Tea set - A creamer, a teapot, and a lid of sugar. From kazu様 11/17/22

       

       

Tea set
  Royal Worcester. 1876. (A creamer and a lid of sugar ). Unknown maker ( A teapot )

  Painter: B C Harbutt ( Later decoration outside of the factory)
  Monogram: SAB
  Mark: a cross and v
  `H 757‘
  A letter: Reply to the dealer by Henry Sandon.
  A teapot H.9.5cm, A creamer H.8cm, A lid of sugar D.7cm

草花の上を天使が飛び回り蝶を追っている。3点とも同じモチーフで描かれており、同じ絵付師の作品と思われる。
クリーマーとシュガーポットの蓋には、1876年製のウースターの窯印が入っている。ティーポットは白磁の素地が異なっており、ウースターのマークもなく、ウースター以外のメーカーのモノと考えられる。
従ってこれらは、白磁を購入した後、外部で装飾された作品と考えられる。
実は19世紀に、この様な事業を広げていたのは、Howell & James Co.である。元々ロンドンのリージェントストリートにお店を構える宝石商であり、銀細工工房でもあり、1819年より1911年まで操業していた。
1876年からはプロのアート・ポタリーや、陶磁器にアマチュアの絵付師が装飾した作品を集めて展示するギャラリーを併設したが、これが大きな反響を呼ぶ事となり、間もなくロンドンの主要会場で展示会が開催される様になった。主にNational art training school(通称サウス・ケンジントンスクール)のデザイナーや学生の作品が販売された。
ヘンリー・サンドン氏の著書のRoyal Worster Porcelain(P4)でも、この会社について触れられており、公式にウースター社などから白磁が提供され、そこに装飾を施して販売した 。リージェントストリートの店舗の上には、一時期には、140人もの女子学生が暮らしていた。

今回のTea setは、ウースターの1876年製のモノが使われており、これらの白磁は、この時期にこう言った事業の為にウースター社が製作した物と考えられる。
絵付師のサインはHarbuttとあるが、この時代で検索すると、William Harbuttと言う名前が挙がって来る。
彼は1844年生まれで、1869年から1874年までロンドンのサウスケンジントンにある、National art training school(現Royal college of art)で、建築物の製図などを学んで指導資格を取得した。1874年からThe school of art in Bathの校長を務めたが、何らかの争議の為に1877年に退職した。
妻のElizabeth はミニチュア・ペインターで、3人の娘の内、二人目の娘の名前がBeryl Cambridge Harbuttで、この作品のサインと符合する。
モノグラムのSAB は、The school of art in Bathに符合する。
一家はバースに居住しており、この作品は、彼女がThe school of art in Bathに所属し、H & J社に作品を提供したもので、H757は、同社の識別番号とも考えられる。
但し、Berylは1881年生まれで、白磁の製作年よりも若い。1901年でやっと二十歳に成る。この場合、白磁のかなり後で絵付けがされたことになる。
この時代では、まだ女性芸術家の評価は低かったが、ロンドンでは1843年にThe female school of designが設立され、それは1859年にサウスケンジントンにNational art training schoolに併設する形で移転した。
H & J社は、主に女性絵付師の作品をフィーチャーし、展示会を開催したものと考えられるが、当時としては、非常に斬新な企画であったと考えられる。
この作品では、全体の構図のぎこちなさや、焼成時のPepperingなどが見られるものの、天使の絵付けのレベルはハイレベルである。
ヘンリー・サンドン氏もこの絵付けの良さをお手紙の中で称賛している。


Two KPM Figurines From kazu様 01/02/22

     

KPM Berlin窯 フィギュア:子羊と少女(春のアレゴリー〜季節のアレゴリーを表す4人の子供より)
 年代:1763年
 原型師:フリートリッヒ・エリアス・マイアー(Friedrich Elias Meyer) ゴツコフスキー時代のモデル
 高さ:11cm
 窯印:窯印:青の釉下彩で王笏 刻印で15とV

子供が子羊を抱えているが、横から見ると、髪の毛を束ねていることより少女だと分かる。
三角形の台座は、ベルリン窯に多く、この特徴は、カスパー・ヴェゲリー(Casper Wegery)の時代には見られず、Gotzkowskyの時代から見られる。
恐らく7年戦争で、フリートリッヒ大王(Friedrich II)がマイセン窯から連れて来た、フリートリッヒ・エリアス・マイアー(Friedrich Elias Meyer)の影響が考えられる。彼のロココ美術に対する感性は、くねらせた身体の曲線の表現や、このロココ風の台座などに反映されている。
このフィギュアは、1761年から1763年の間に、彼によって制作された型から造られているが、大王が買い取った後のKPM ベルリン窯の染付の王笏の窯印が入っている。
また15とVの刻印が入れられているが、KPM ベルリン窯のモデルブック(Das modellbuch)によると、ゴツコフスキー時代のモウルド(Modelle der Gotzkowsky-Zeit)の所に、△15 Ein Figurchen, Ein Madchen mit einem Lammchen と書かれている。
△は台座の形で、15はこのフィギュアの型番であると分かる。1763年から数年間は、ゴツコフスキーの型が流用され、彼は引き続き原型師主任に就いて、制作を継続した。後半部分は、「子羊と少女」という意味である。
またこの作品は、四季のアレゴリーの中での一つで、春のアレゴリーにあたる。
ドイツでは未だにケルト文化の影響が残る。ケルトの季節の祭りで、冬至と春分の中間の日である、2月1日に行われるインボルク(Imbolg)というお祭りがある。日本の立春のように、春の訪れを祝うお祭りである。
インボルクとは、「羊の乳」を意味するケルト系の言葉で、この時期に子羊が生まれ、人々は祝宴を開く。この春のアレゴリーは、欧州に多く残るケルト文化を表している。

     

KPM Berlin窯 フィギュア:ユピター
 年代:1769年-1770年
 原型師:ヴィルヘルム・クリスティアン・マイアー(Wilhelm Christian Meyer)
 高さ:11.5cm
 窯印:青の釉下彩で王笏、刻印で407とA

ロココ風に身体をくねらせ、左手には雷束を持ち、足下には鷲を従えている。
この作品は、KPM ベルリン窯の神々(Gotter)のシリーズの一つで、最高神ユピター(Jupiter)を表している。ややひょうきんさが有る。
王笏の染付の窯印とともに、407とAの刻印が入れられている。
KPM ベルリン窯のモデルブック(Das Modellbuch)には、Vercleidete Cupidos als:△ Gotter 407 Jupiter と書かれている。前半部分は「天使の変装」で、△は台座の形で、407は型番である。「ユピター」はその神の名である。
この作品の原型師は、ヴィルヘルム・クリスティアン・マイアー(Wilhelm ChristianMeyer)で、マイセン窯から連れて来られた、フリートリッヒ・エリアス・マイアー(Friedrich Elias Meyer)の弟である。
彼もまた、1761年にボンからベルリンへやってきて、1766年よりこの窯で原型師として働いていた。


2 Okura Demitass C/Ss From risuko様 09/12/21

   

*大倉陶園 デミタスカップ&ソーサー 2客
 年代:不明
 2客とも カップ直径4.7cm 高さ4.6cm ソーサー直径10.2cm 高さ2cm

皿の裏側に金線が入っており、黒のデミタスは特注品ではないかと思われます。
ソーサーの文字から、この作品はロートレックの「エグランティーヌ嬢一座」をモティーフにしているものと思われます。ソーサー中央の風車はパリの有名キャバレー「ムーラン・ルージュ」のシンボルです。
黄色のデミタスは図録にありました。(2019年「華めく洋食器 大倉陶園100年の歴史と文化」展図録)


A Worcester Plate & A Chantilly Cream Cup From ふじわらゆう様 07/21/20

   

*ウースター ブラインドアール 小皿
 年代:1760年頃
 直径:14.5cm 枝を含む直径:15.7cm
 窯印:なし

狩りの事故で盲目になった伯爵の為に作られたという逸話を持つ、ウースターのブラインドアールの小皿です。
バラの蕾や持ち手の枝、描かれている葉などが浮き彫りになっており、視力を失った方にも、手で触って判別できるようになっています。
しかし、購入したお店で頂いた資料にも記載されていましたが、その伯爵が事故に遭う前に既にこのパターンがあったというのも有名なところです。同資料では、それ以前に、チェルシーなどに原型があると記載されています。
いずれにせよ、浮き彫りのデザインは大胆で美しく、持ち手の枝にも節がついていたりして面白く、少々地味ですが、とても美しくてお気に入りの品です。

         

*シャンティーイ 葡萄栗鼠文 クリームカップ
 年代:1750年頃
 直径:6.0cm 全体高さ:9.0cm カップ高さ:5.9cm 蓋内径:5.3cm 外径:6.3cm 高さ:3.5cm
 窯印:なし

シャンティーイの蓋付きクリームカップです。年代は、記憶が定かではなく、確かこの年代です。
シャンティーイの柿右衛門手の特徴である、錫釉の温かいクリーム色の地が優しく、気に入っています。
葡萄栗鼠文については、少し描き方が甘いかもしれません。また、栗鼠文の写真がどうしても上手く撮れず、すこしぼけています。済みません。
このお品の最大の特徴は、蓋つきのクリームカップである点だと思います。ご覧の通り、持ち手はどんぐりで、大変可愛いです。購入したお店のお話では、このお品の仕入れ時、別の、クリームカップを集めているお客さんに、「シャンティーイのクリームカップは持っていないので、是非譲ってほしい」と頼まれたが、珍しいお品だったので断った、とのことでした。
蓋には、花や昆虫(甲虫かコオロギ、或いはタガメ?)があり、ハンドルにも、赤の唐草(というか、植物(草))文が施されており、細部まで装飾が行き届いています。


A Vincennes C/S & A Vauxhall Milk Jug From kazu様 05/31/20

   

   

*ヴァンセンヌ窯 (1738-1756) ブルー・セレストのカップと受け皿
 年代:1754-1755年 素地: 軟質磁器
 カップ直径:9.5cm、カップ高さ:6.5cm、 ソーサー直径:13.5cm
 イヤーマーク:B / 1754?1755
 カップの絵付け師のマーク : T の上に点ドット / フランソワ・ビネ(Francois Binet (1750-1775))
 受け皿の絵付け師のマーク: L / ドゥニ・ルヴィ(Denis Leve (1754-1793))
 刻印 : 四角形 (1749-1750)、2本の平行線(1748-1749)

この典型的なロココ様式の洋梨型のカップは、1752年の10月にヴァンセンヌ窯から始まり、セーヴル窯の初期でも制作された、エベール(Hebert)型と呼ばれるカップである。
カップの胴部のふくよかな曲線は、洋梨を連想させ、典型的なクロスするスクロールハンドルは、木の幹の様な装飾が金彩で施され、まさにロココ様式の優美さを表現している。
グラウンドカラーは、ブリュ・セレスト(blue celeste)、空の色であり、科学者ジャン・エロー(Jean Hellor)が1753年に開発したモノで、ルイ15世のディナーサーヴィスに使用され、ブリュ・ド・ロア(Blue du Roi)「王の青」とも呼ばれているものである。またこのブリュ・セレストは、1755年に改良され、より鮮やかでムラの無いモノになっている。
カップの絵付け師はフランソワ・ビネ(Francois Binet (1750-1775))、受け皿の絵付け師はドゥニ・ルヴィ(Denis Leve (1754-1793))。いずれもフラワーペインターである。
また素地自体にも職人のマークが入れられる。これは型師(Moulder)らが自分の仕事である印に刻むモノで、あくまでも管理者の品質管理の為に入れる事が義務付けられている。
この作品では、正方形(1749-1750) 、平行線 (1748-1749)が刻まれており、それぞれ制作年が分かっている。この様なカップと受け皿の場合、受け皿側に入らない事もある。

   

   

*ヴォウクソール窯 (1751-1764) 花絵のミルクジャグ
 年代:1756-1758年
 高さ:9cm
 窯印:なし シール : ECC Exhibition 2007

ヴォウクソール窯(1751−1764年)
テムズ川の南岸・サウスバンクは、多くの材木置き場とともに、石鹸工場や、砂糖工場や醸造所が設立され、18世紀には、イギリスの陶器生産の中心地となっていた。
ウェストミンスター橋の南にかかるランベス橋を渡るとランベス(Lambeth)村、更に南のヴォウクソール橋を渡るとヴォウクソール(Vauxhall)村に当たり、いずれも多くの陶器工場が17世紀後半から設立され、品質はともかく、庶民が使用する多種多様な日常品を大量に生産し、経営的にも大きな成功を納めていた。
これらの陶器メーカーで育った職人が、後にブリストル(Bristol)や、プリマス(Plymouth)、更に植民地時代のアメリカにまでその技術を広め、19世紀後半のランベスのドルトン(Doulton)窯の成功にまで、それは引き継がれている。
1751年6月、このヴォウクソール村に短命ではあったが、独創的な製品を生産する磁器工場が設立された。
地元で鉛釉陶器工場を経営していたジョン・サンダース(John Sanders)と、ロンドンのセント・ポール大聖堂で宝石商を営んでいたニコラス・クリスプ(Nicholas Crisp)によって設立された磁器工場で、ソウプストーン(Soapstone)を原料とするステアタイト磁器(軟質磁器)工場を、ヴォウクソール村のグラスハウス・ストリート(Glasshouse Street)に建設した。

ツバメの嘴の様な注ぎ口と、ウースターやリヴァプール窯でよく見られる耳型のハンドル。上縁には金彩が施され、しっかりとしたタッチで花絵が描かれている。
素地は軟質で釉薬が緑色がかっており、ウースター窯のようなステアタイト磁器の特徴が見られるが、やはりウースター窯やカフレー窯とは風合いが違う。
1750年代の磁器の装飾は、セント・ジェイムズ社(St. James)にしろダービー窯(Derby)にしろ、中国磁器にしろ、同じ様な花の、しかもヨーロッパスタイルの絵付け装飾が見られ、それらはロンドン絵付け工房によるものと考えられる。
ヴォウクソール窯でも、染付けや東洋風のモチーフ、または銅版画からの転写に後で色を置く様な装飾は自社装飾で行われたが、多くの花絵の多色装飾がロンドンの外部絵付け工房で行われている。
したがってこの作品の様な多色の花絵で、輪郭線も見当たらないモノは、ロンドンの絵付け工房によるモノと思われる。また上縁の金彩もロンドン装飾の特徴である。
この作品の高台内には、ECC(English Ceramic Circle)のシールが貼られているが、2007年のECCの展覧会「Ceramics of Vauxhall 18th century pottery and Porcelain」で出品されたモノである。この展覧会のカタログでは、この作品が有名なロンドンのジャイルズ工房(James Giles Atelier)の装飾の可能性があるとは、記載されていない。
しかしステフェン・ハンスコウム(Stephan Hanscombe)が『The Early James Giles and his Contemporary London decorators 』で指摘している、ジャイルズ工房絵付けのTypeB の花絵に似ているところもある。


伊万里 柿右衛門 色絵蝶牡丹文輪花皿、色絵竹梅岩文小皿 From kazu様 05/08/20

   

 

*色絵蝶牡丹文輪花皿
 年代:1680-1700年/天和ー元禄年間
 直径:18.2cm
 窯印:銘:N=27 ロ(Japanese Palace inventory number)

五葉の輪花に濁し手に、蝶と牡丹を対照的に配した絵付けは上品である。裏も文様はシンプルな唐草文に一つおきに鳥が止まっている。
銘はないが目跡が4箇所ある。ただ表の青は上絵であるが、裏の青は染付けで、厳密には濁し手ではないかもしれない。更に『N-27ロ』の刻印が刻まれている。ヨハネウムマーク(Johanneum mark)と呼ばれ、この刻印はザクセン選帝侯アウグスト強王のコレクションに入れられたマークである。収蔵品を分類整理し、目録を制作する為に刻まれたモノである。 ガラスカッターで釉薬の上から刻み、黒色で塗られた。第1回目の目録制作は1721年に行われ、5巻で構成されていた。
収蔵品は1733年にアウグスト強王自身が亡くなると、未完成だった日本宮殿に収められた。その後コレクションが追加され、1770年から1779年の間に第2回目の目録制作が行われた。この作品は製作年代からも第1回に記録されたモノと思われる。
ヨハネウムとは、ドレスデンの建物の名称で、1875年から1876年にかけて日本宮殿からコレクションがこの建物に移された。この作品はアーンホルト(Arnhold)コレクションのオークションに出品されたモノである。

*色絵竹梅岩文小皿
 年代:1670-1690年/寛文ー元禄年間
 直径:14.4cm 高さ:4.5cm
 窯印:N=120 ロ(Japanese Palace inventory number)

染付け色絵併用の八角小皿。周囲を縁銹(ふちさび)と力強い唐草文で装飾し、見込みに芭蕉岩と竹梅を描く。
裏文様には、如意頭文(4個)と、高台内には『宣嘉年製』の銘が染付けで入る。この銘自体は、1670年から1690年の作品に使われている。
更に『N-120 ロ』の刻印が刻まれている。ヨハネウムマーク(Johanneum mark)と呼ばれ、この刻印はザクセン選帝侯アウグスト強王のコレクションに入れられたマークである。収蔵品を分類整理し、目録を制作する為に刻まれたモノである。 ガラスカッターで釉薬の上から刻み、黒色で塗られた。第1回目の目録制作は1721年に行われ、5巻で構成されていた。
収蔵品は1733年にアウグスト強王自身が亡くなると、未完成だった日本宮殿に収められた。その後コレクションが追加され、1770年から1779年の間に第2回目の目録制作が行われた。この作品は製作年代からも第1回に記録されたモノと思われる。
ヨハネウムとは、ドレスデンの建物の名称で、1875年から1876年にかけて日本宮殿からコレクションがこの建物に移された。この作品はアーンホルト(Arnhold)コレクションのオークションに出品されたモノである。


A Napoli Giustiniani C/S & Milk Jag From kazu様 05/08/20

       

*ナポリ ジウスティニアーニ窯
 年代:どちらも1835頃
 カップ直径:10cm 高さ:6.5cm ソーサー直径:13.3cm 高さ:2.8cm
 ミルクジャグ直径:10cm 高さ:13.0cm  窯印:どちらも刻印 G

豪華な金の蛇を模したダブルハンドルにギリシアの黒絵式陶器のようなシルエットの装飾。素地は厚く重い。高台内に筆記体のGが刻印され、ナポリのジウスティニアーニ(Giustiniani)窯の作品だと分かる。
クリスティーズにこれに似た作品が出品されて話題になったが、エジプシャン・リヴァイヴァルとされていた。
ナポレオンのエジプト遠征のあと、フランスのシャンポリオンが1824年にエジプトの象形文字を解読するが、彼は古いコプト語に精通し、一度もエジプトに行く事無く解読に成功した。その後世界はエジプト熱(Egyptian Fever)に湧き立った。
この作品は1835年頃に制作されたと考えられるが、受け皿の人物像の下に、象形文字とも判別出来無い文字も描かれている。しかしよく見ると、同じ様な黒絵式の様な装飾でも、クリスティーズの作品とは、モチーフが少し異なっている。
この作品が、イタリアのナポリで制作された事より、新古典主義の中心地で、ポンペ遺跡の遺物からの影響も考えられるが、むしろイタリア半島のローマ人の先住民、エトルリア人の遺物を思い起こさせる。
この人物像はやはりギリシア人だと思われるが、黒絵式の陶器は、実は紀元前7世紀にコリントスで発明された。赤土をベースに黒でモチーフを描くモノである。逆に地を黒で塗りつぶして、赤土部分を浮き立たせる「白抜き」ならぬ、「赤土抜き」は、赤絵式と呼ばれ、紀元前6世紀にアテネで発明された。
イタリア半島は、ラテン民族に席巻される以前は、エトルリア人の半島であり、彼らは盛んにコリントス等のギリシア諸都市から多くの黒絵式、赤絵式の陶器を輸入していた。
そしてそれらを模倣し、多くの黒絵式の陶器壷を自ら制作した。但し素地の地の色は赤ではなく、イタリア半島の肌色の土で制作されており、一見してギリシア陶器と区別出来る。 ナポリのあるカンパーニャ州は、ウンブリア州にも隣接しており、あちらこちらにエトルリア人の遺跡が散在している。
この作品は白地に黒でギリシア戦士をモチーフに描かれており、ギリシアよりもむしろ地元のエトルリア人の陶器に影響されたモノではないかと思われる。


  ◆ 今までの展示作品

ページ16

A Belgian Etterbeek C/S
A Kouyousha Vase (向陽舎)
2 Meissen C/S and A Sevres C/S
伊万里牡丹唐草大鉢, A Den Haag Plate, A Liverpool Cup, A James Giles Cup
A Tournai Plate & A Berlin / Johann Ernst Gotzkowsky Manufaktur Figurine
二代目三浦竹泉、三代目三浦竹泉改め竹軒、並びに浅井一毫方形盃
A pair of tea caddy spoons, A folk, A pair of folks, A pair of saucers

初代真清水蔵六陶硯 二代蔵六(泥中庵)識
A Worcester Fan Pattern Tea & Dessert Service

ページ15

A Sevres TB/S
A Meissen Teabowl
2 Vienna C/Ss, A Vienna Beaker
A Hoechst C/S
A Minton C/S, A Sevres C/S
Two attrib. Wien Plates & Two Worcester Plates
伊万里 染付鹿紅葉文輪花皿
象嵌 蓋物
A Worcester Plate (James Giles Atelier)
Two Sevres Figurines

ページ14

A Nymphenburg Figurine
A Imari B&W Bowl, A Imari B&W Plate
A Capodimote Beaker
堀口大學とマーティンブラザーズ
A Giles Worcester Plate
Shards of British Slipware
刷毛目茶碗
鷺柄染付小皿
A Royal Copenhagen Small Vase 茶入仕立
A Tea Caddy Spoon

ページ13

3 Stirrup Cups, Dessert Knives and Forks (12pieces)
An Early Martin Brothers Salt-Glazed Vase
A Frankenthal Figurine, A Fulda C/Ss and A Possibly Vezzi Teabowl
2 Nymphenburg C/Ss and 4 Frankenthal Plates
色絵松竹梅花唐草文鉢 色絵楼閣山水文皿、古伊万里染付芙蓉手花鳥文大皿
A Frankenthal Teapot & A Ludwigsburg Teapot
A Tea Cup & Saucer, A Copenhagen Plate
松風嘉定 釉下彩菖蒲文五寸皿
A Vicentini Teabowl
A Grainger Worcester Tea Set, A Silver Tea Canister, A Silver Tea Caddy & A Loetz Vase

ページ12

A Teapoy
A Silver Lemon Strainer & A Silver Toddy Ladle
清水六兵衛C&S 2客
An Alvin Silver Spoon, 鍋島青磁八角小皿, A Chelsea-Derby Trio
真葛製猪香合、駒井製シガレットケース
薩摩鶴首茶入
A Plique-a-jour Enamel Spoon
A Limoges box, A Silver Tea Caddy Spoon, A Royal Worcester Plate
A Norwegian Silver Shifter Spoon
A Wilhelm Casper Wegery Factory Figurine, A Pair of Napoli Figurines

ページ11

An Old Worcester Tea Caddy
A Cutlery Set, A Snuff Box
GRANVIGNE,Jean(フランス) 純銀サーバー
オールド大倉 アールデコ蒔絵C/S
オールド大倉 蝋燭立
オールド大倉 釉下彩金魚文陽刻銘々皿共箱付
A Meissen Plate
Edward Burne-Jones 'White garden' & 'Welcome to the house'
A French Dieppe Ivory Needlework box
Sevres C/S, Ice Cup

ページ10

Wallace Silver Spoons、Worcester Old Japan Star Trio、Cup & Saucer ?
Royal Worcester Dejeuner Set, Venetian Cushion, Imari Vase
Strasbourg Plate, Doccia Sauceboat, Doccia Group Figure, etc.
瀬戸 川本半助 手塩皿
A Donath C/S
Royal Worcester Pink C/Ss
A Tiffany Favril Glass Vase
西浦焼 枇杷文ベース、百合文ベース
A Pair of Roman Coin Piece & Box
Various Pieces 2010

ページ9

Oude Amstel TB/S, Oude Loodsrecht TB/S, 2 Royal Worcester C/Ss
Meissen Plate, 2 Worcester C/Ss
Derby Plate
Strasbourg, Nidervill, Sevres Saucers
Zurich Plate & Copperplate Print
Various Pieces 2008 Vol.2
2 Royal Worcester demi C/Ss with Jyubako
Manises Luster Plate
Various Pieces 2008
鶴文蚊取線香入れ

ページ8

飛魚文鼈甲櫛, 鳥文鼈甲櫛
赤玉瓔珞文小鉢, Worcester Scarlet Pattern C/S
Meissen Sugar Pot, Derby Trio, Furstenberg C/S, Ludwigsburg Casturd Cup, Vienna Plate
Chelsea Plate, Worcester Plate
Herculaneum C/S
花籠桜柄里帰り伊万里絵皿
Meissen Cup, Sevres C/S
Paul Bernard Vase
Wedgwood Whieldon Lead-Glazed Earthenware Plate
5 Okura Demitasse C/Ss

ページ7

Mennecy Potpourri Pot, Vienna Plate
Worcester Trio
Gorham Silver Tea Service 3pc.
Meissen Plate, Niderviller Figurine
Meissen Pomade Pot, Niderviller Figurine, Bristol Figurine
Asparagus shaped needle case
Vienna, Frankenthal, Meissen, Zurich, Herend Pieces
Worcester Plate
Chelsea Pieces
Worcester Pieces

ページ6

Doccia C/S & Cozzi Plate
St.Petersburg & Niderviller Figurines
Doccia, Ginori Trays for Soup Bowl
2 Cozzi Plates
Royal Worcester Japanism C/Ss etc.
2 Silver Overlay Demi C/Ss
Richard Ginori Plate
Mennecy silver-mounted snuff box of a rabbit
Meissen celadon glaze butterboat
A Gold Tie Pin with Leather Case

ページ5

3 Silver Pieces with Roses
9 18th Century Pieces
Meissen & Sevres C/S
Medici, Cozzi, Naples, Chelsea, Tournai
10 18th Century Continental C/Ss
Meissen & KPM Batavia C/S
Moorcroft Vase
Minton Vase
Blue & White Plate 明末景徳鎮 古染付
Richard Ginori Grotesque Pattern Flask Bottle, Dish, Vase

ページ4

Sevres Cup & Saucer
Hoechst Ceramer, Cup, Bowl, Saucer / Sevres Creamer
Royal Worcester Plate
2 Furstenberg Saucers / Vienna C/S
Furstenberg Alphabet Set
Wedgwood Fairyland Lustre Melba Bowl
A Pair of Candlesticks
Victorian Scent Bottle
Richard Ginori Japonisme Plate
Royal Worcester Sabrina Ware Vase

ページ3

Liberty Silver Potset & Coffee Pot
Royal Worcester Dejeuner Set
Susie Cooper Tea for Two Set
Hochst Pot
Moorcroft Pottery Miniature Vase
Richard Ginori, Gray's Pottery Tea Set
Royal Worcester Creamer, 2 Demitasse C/S, Royal Crown Derby Vase
Chamberlain Worcester "Blind Earl" Plate, Royal Worcester Vases
Kakiemon Small Bowl
Silver Folks & Knives with Japanese Kozuka(小柄)

ページ2

Cloisone plaque(有線七宝飾り板)
Meissen Coffee & Tea Set
窯名不詳カップ&ソーサー
Rosenthal "Woman Drinking" "Pierette (Anita Berber)"
Meissen Blue & White Dish, Tea Caddy
Chelsea Derby Cup & Saucer
Rosenthal Silver Overlay Tea Set
Silver Teapot & Stand, Vienna Cups & Saucers
Rosenthal "Korean Dancer", Lenci "Girl", 自作人形
Vienna Pot

ページ1

ロイヤルコペンハーゲン特別限定2000年ミレニアムプレート
ロイヤルコペンハーゲン1983年イヤープレート
KPMミルクピッチャー
クメール褐釉ライムポット
Vienna Austria Porcelain Teapot 18th Century
Carlton Ware C/S & Meissen Knife
Minton & Ulysses Blois Tiles
2 KPM Plates
Meissen "Maple" Saurceboat
Vienna Austria Porcelain C&S 18th Century


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